俺は桜良といるといつも温かい気持ちに
させられる。

仕事ばかりだった俺に、幸せというものを教えてくれたのは桜良だ。

桜良を失ってから、改めてその幸せがいかに
大切なものだったのかを思い知らされた。

桜良の両親を見て、俺もまた桜良とやり直してこんな温かい家庭を作っていきたいと思った。

そして、桜良の両親を早く安心させてあげたいとも。

だけど、今は桜良を追い詰めている犯人を
見つけ出さないと前に進むことはできない。

この先、再び結婚して、子供ができたときに
桜良と子供が安心して暮らせていけるように。

ケーキを食べた後、俺は桜良の両親にお礼を言って桜良の両親が見送ってくれる中、
桜良と車に乗り込み、桜良の実家を後にした。

「竜海さんの家に行く久しぶりだから、なんだか緊張します」

助手席で可愛い笑顔を向けて呟く桜良に
俺はにっこりと微笑み返した。