Restart〜二度目の恋もきみと

俺はこのドイツのブランドの時計が好きで
ずっと集めていてそれ以外の時計はつけない。

「そういえばそうですよね。
そのブランドの時計、お洒落でかっこいいですけど、
時計の文字盤が見えづらくて
庶民の私には実用的でないなとずっと思っていたんです。」

思わず本音を漏らした桜良に俺はぐぐっと言葉を詰まらせ
複雑な表情で自分の時計に手をやる。

「本当だ...でもすごい技術ですね...」

桜良はあまりの合成写真の技術に感心したように息を吐いた。
桜良の言う通り、別の人物の写真に俺と松谷の顔をうまいこと
嵌め込んでいて何ら違和感がない。
よく見ないと騙されてしまうくらいだ。


「桜良?感心してる場合じゃないんだけど。
ここまでして俺たちを別れさそうとしてるやつがいるなんて普通じゃないんだぞ。」

「あっ、そうでした...
一体だれがこんなこと...」

俺は青ざめて立ちすくむ桜良の手を引くと
ギュッと桜良を包み込むように抱きしめた。

「やっぱり、桜良のストーカーって線が有力かな。」

もしストーカーだとしたら、桜良に身の危険が及ぶかもしれない。

心配から思わず桜良を
抱き締める腕に力がこもる。

「竜海さん..」

不安そうに俺の名前を呼ぶ桜良が
俺は愛おしくて改めて大切な存在なのだと
再確認させられる。

「大丈夫。何があっても俺が桜良を守るから」

俺は抱きしめながらボソッと呟いた。