Restart〜二度目の恋もきみと

「竜海さん、ありがとうございます。
お母さん、全く疑ってないようです。」

桜良は小声でお礼を言った。

「俺の演技力も大したものだろ?
まあ、さながら演技でもないけど。
これを機会に桜良とまたやり直したいのは
本当のことだし。ここに戻すつもりはないから覚悟して」

俺が微笑みかけると桜良は
照れくささを隠すように
「ご、ご飯が出来るまで私の部屋で
待ちましょう」とそそくさと
2階へと上がっていった。

2階に上がると桜良の6畳の部屋へ
と案内された。
女の子らしい可愛らしい部屋に
なんだか少し緊張してしまう。

桜良も緊張しているのか、ベッドに腰をかけると近くのくまのぬいぐるみを手に取るとギュッと自分を落ち着かせるように抱き締めた。

その様子が可愛くて思わず頬が緩む。
そして俺も桜良の隣に腰を掛けた。
その瞬間、桜良はビクッと肩を震わせると「きょうのご飯は何かな?」
となんとか緊張してない振りをしているようだ。
そんなに可愛いとどうしても意地悪したくなってくる。

俺は桜良の頬に手を触れると
「もう、恐いのは治まった?」
と顔を覗き込んだ。

「は、はい。お陰様でもう大丈夫です」

桜良は見つめる俺の目から逃げるように
瞳を彷徨わせながら言った。

「そう?まだこわいなら安心するまで抱き締めててもいいんだけど..」

「だ、大丈夫ですよ!それに母がきたら恥ずかしいですしっ、今は大丈夫です!」
 
桜良は顔を真っ赤にさせながら
近寄る俺の胸を押し返す。

「今は?じゃあ、俺の家で二人きりならいいの?」

俺の問いに桜良は少し考えてからコクリと頷いた。
俺はそれを見て額に手を当て項垂れた。

桜良をからかうはずが、その可愛さに逆にノックアウトされててしまった...。

「竜海さん?大丈夫ですか?」

項垂れる俺を桜良は心配に覗き込む。