コツコツコツ

ボーっとしたまま歩いていると不意に後ろから誰かの革靴の音が
耳に入り不意に後ろを振り返った。

すると、こんな夜中にサングラスをかけた
男が私が振り返ったのに気づいて
慌てて電信柱に身を隠したのが見えた。

誰っ...?

私は最近つけられているような
感覚に襲われていたのを思い出して
急に怖くなった。

しかも、あのサングラスの男の人、前に禅ちゃんと歩いていた時に
私たちにスマホを向けてた人にかなり似ている。

そして、私が歩く速度を速めると
革靴の音もそれに比例してコツコツコツと
速度が速まる。

恐いっ、誰なの?

私は恐くて後ろを振り返ることができず
ドドドと恐怖に高鳴る心臓と共に
急いで駆けだした。

しかし、それほど高くないヒールにしても
走るのは容易ではない。

私は何度も足がもつれそうになりながらも
自宅に向かって走った。