Restart〜二度目の恋もきみと

竜海は逃げようとする仁坂に向かって
「例え冗談でも、今度うちの妻を泣かせるようなことしたらタダじゃ済まないからね。
それと、会社に戻ったらノベルティラボの担当を別の人に変えるように言ってくれるかな?」
にこりと笑みを浮かべながら言った。

しかし、その笑顔が仁坂にとって逆に怖かった。

「は、はいっ、分かりました!!
上杉さん、失礼なことを言って、大変申し訳ございませんでした」

仁坂は私に向かって深々と頭を下げると
早々に店を出ていった。

竜海さんは仁坂が出ていくのを見届けると
「桜良、大丈夫か?」
心配そうに私の顔を覗き込む。

私はコクリと頷くと
「ありがとうございます。」
我慢していた涙が零れだして顔を覆った。

「桜良こそ、よく頑張ったね」

竜海さんは優しい声色で囁きながら
私の頭を優しくなでる。

「本当はとっても怖かったんです。
あの人には中学生の頃、ずっと虐められていて..。
そのせいで自分の容姿に自信がなくなって
整形を決意したんです..」

私の言葉に竜海さんは
撫でていた手を止めると
「そんなことがあったのか...。
それなのに俺は何も知らずに責めてしまった。
桜良、すまない。」
竜海さんは苦しげに声を絞り出した。

私は顔を上げると
「竜海さんは悪くないです!!
私がちゃんと正直に打ち明けなかったから..」
竜海さんの言葉を必死に否定した。