Restart〜二度目の恋もきみと

私が怒りに打ち震えていることに仁坂は気付かない。

それどころか、
「そんなことよりさぁ、今夜一緒に飲みにいかない?」と、飲みに誘ってきたのだ。

「えっ...?」

「仁坂さん、ご結婚されているんじゃないんですか?」

私は仁坂の左手の薬指に光る指輪をみつめて
少し強い口ぶりで問いかけた。

「うん。してるよ。」

「それなら、接待でもないのに女性と二人で
飲みに行かれないほうがいいんじゃないですか?」

「上杉さん、相変わらず考え方が真面目だよね。」

仁坂は馬鹿にしたようにハハッと笑いながら言った。

「奥さんのこと愛してるんですよね?」

「それはそれ、これはこれだよ。
妻だけでは飽きちゃうんだよね。
たまには他の女の子とも遊びたいよね」

こんなことを平然と言ってしまえる仁坂は
昔とちっとも変っていない。自分さえ、良ければいいのだ。