ジョイさんのお父さんは大工さんだそうで、父親の影響でジョイさん自身何かを作ることが得意だそうだ。
 カイくん以外の男の子たちが住む施設にふらりと訪ねて来ては、家具をいとも簡単に作ってしまう。
 男の子たちにとってジョイさんは頼るべきお兄さんといったところだろう。
「流石に俺は家を建てたことないからなあ…。親父は城下町に住んでるし。そしたら、棟梁を呼ぶしかないか」
「おい、棟梁って駄目だろうが!」
 話をどんどん進めていくジョイさんに対して、マリアちゃんはさっきから怒鳴ってばかり。
 私とバニラは2人を黙って見守るしかない。

「なあ、姫君ってスカジオン王国から来たんだろ?」
 口を尖らせながら、意地悪そうにジョイさんが言う。
「はい、そうです」
 頷くと、ジョイさんは。にたぁと笑ってマリアちゃんを見た。
「棟梁の息子さんはスカジオンで暮らしてるんだよなあ」
 独り言のようにジョイさんが言うと。マリアちゃんが「ううっ」と呻き声を出した。

「棟梁がいれば、この家をどうすればいいのか助言はもらえる。だが、作ってもらえるわけじゃないから。そこは予めわかってほしい」
 私はジョイさんの顔を見ながら頷いた。
 どうやら、自分で家を造り直さなきゃいけないようだ。