(こんなの、あんまりだわ)
わたくしは一人、頭を抱えて俯く。心臓がドクドクと嫌な音を立てて跳ねた。
わたくしはもう、ジャンルカ殿下に関わるつもりはない。顔を見せるなと言われたのだし、二度とお会いする気もない。それなのに、彼はわたくしに『忘れる』ことを許す気はないらしい。苦しめと――――ずっと自責の念に駆られながら生きろと、そう思っているのだろう。
「ディアーナ様」
その時、鈴を転がしたような声音がわたくしを呼んだ。絶望感が胸をつんざく。恐る恐る顔を上げれば、そこには可憐な笑みを浮かべた聖女――――ロサリア様が佇んでいた。
「初めまして、ディアーナ様。私ロサリアと申します。同じクラスになれて光栄ですわ」
そう言ってロサリア様は目を細める。温かくて優しい笑顔だった。わたくしをジャンルカ殿下の婚約者の座から追いやった張本人だというのに、見ていて不思議と癒される。胸がツキツキと痛んだ。
(あぁ、ジャンルカ殿下はこのことを言いたかったのね)
わたくしとは正反対の、温かくて穏やかな微笑み。一緒に居るだけで心が安らぐ可憐さ。あまりの違いにわたくしの存在を全否定されているような、そんな気持ちになってくる。
わたくしは一人、頭を抱えて俯く。心臓がドクドクと嫌な音を立てて跳ねた。
わたくしはもう、ジャンルカ殿下に関わるつもりはない。顔を見せるなと言われたのだし、二度とお会いする気もない。それなのに、彼はわたくしに『忘れる』ことを許す気はないらしい。苦しめと――――ずっと自責の念に駆られながら生きろと、そう思っているのだろう。
「ディアーナ様」
その時、鈴を転がしたような声音がわたくしを呼んだ。絶望感が胸をつんざく。恐る恐る顔を上げれば、そこには可憐な笑みを浮かべた聖女――――ロサリア様が佇んでいた。
「初めまして、ディアーナ様。私ロサリアと申します。同じクラスになれて光栄ですわ」
そう言ってロサリア様は目を細める。温かくて優しい笑顔だった。わたくしをジャンルカ殿下の婚約者の座から追いやった張本人だというのに、見ていて不思議と癒される。胸がツキツキと痛んだ。
(あぁ、ジャンルカ殿下はこのことを言いたかったのね)
わたくしとは正反対の、温かくて穏やかな微笑み。一緒に居るだけで心が安らぐ可憐さ。あまりの違いにわたくしの存在を全否定されているような、そんな気持ちになってくる。



