そして、今日は告別式である。

稚内から遠路遙々来た御厨ゆきは、いくら本州とはいえ、ここは雪国と呼ばれるところだから、まさかそんなに暑くはないと思っていた。

しかし、告別式である今日、よりによって40度という、経験したことのない暑さにバテている。


(また、焼香にお経に、坊主の長話か…)

口には出さなくても、ここに居る誰もがそう思っている。


その後、一族はマイクロバスに乗せられ、焼き場へと向かった。

「ねぇ、やたら遠くない?このバス、一体何処まで行くの?」

律子が加奈子にそっと尋ねる。

「わかんない…こんな辺鄙なところ、私も来たことないし…。あ!見てよ、こんな凄いひまわり畑!」

「ホントだ。なかなか珍しいね」

姉妹の前に座っていた御厨ゆきは、あまりの暑さに朦朧としながらも、

(内地の人には、この程度のひまわり畑でも珍しいのね…)

ちょっとしたカルチャーショックを受けていた。