「じゃあ…行くか。」

陽介の一言を合図に私達は細い紐をまたいで
霧の中に吸い込まれるようにして
足を踏み入れた。

周りは何も見えないので
全員でスマホの明かりを付けて
ただ無鉄砲に進んで行く。

足元には枯葉が分厚く、
ふかふかのクッションのように
積もっていて、
歩く度にサクサクと音がする。

奥に行くにつれ、
空気が薄く、なんだか寒くなってきて、

霧の中。

僅かにキラキラと光るものを見つけ、
目をこらすと木にぶらさがった
氷柱が無数に見えた。