『────…俺はゆらが好きだ』


『だからさ。ゆらにとって“義弟”じゃなく……今度は“彼氏”の俺を手懐けるために頑張れってこと』


『そんで、次は俺のために髪伸ばしてワンピース着ろってこと』



という、言葉をもらって。

雨上がりの空の下、私はナナちゃんと手を繋いで家路を歩いた。


なにがなんだか、わかっていません。


友達とファミレスに行ってました、そしたら呼び出しがかかりました、走りました、……キス、されました。



「え、ナナちゃん…、これ……」


「……あ、俺のほうにもメール入ってた」



家に帰ってもお母さんが見当たらないと思えば、ダイニングテーブルの上に置いてあったメモ用紙をさっそく見つける。



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ゆらと七兎くんへ。

今日は圭一さんと一緒に外食してきます。
帰りは遅くなると思うから、ふたりの夕飯は冷蔵庫に作ってあるのでよろしくね。

喧嘩せず、仲良くすること!

お母さんより
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