「ナナちゃん、元カノさんを選んじゃった」


「え、」


「選んじゃったっていうか、ただすれ違ってただけだから…“もとに戻った”って言うのが正しいかな」



青空の下、私はせめてもと晴天を見上げる。

教室でお昼休みを過ごしているとナナちゃんが来てしまうから、今日は雅を屋上に呼んだ。



「よかった…、ほんとうに良かった」



もしナナちゃんと私の出会いがこういう形じゃなかったら、私は自分の気持ちを成熟させることができたのかな。


いや、それもたぶん違うね。

私たちのスタートは、親同士の再婚。
たったそれだけのことだった。


もしそうじゃなかったら学校だって違うし、住んでいる場所も遠いから出会えてすらいなかった。


だから私にとってナナちゃんに出会えたこと自体が、奇跡のように幸せなことなんだ。



「私ね、雅。…情けなかった」


「情けない…?」


「…ワンピース…、着たかったなあって……思っちゃったんだ」



あのワンピースは私が着たかった。

でも佳純ちゃんのほうがすごくすごく似合っていた。


ほんとうに、情けない。