まだみんなきごちない中でテーブルを囲んでいた。

あのときのお母さんのグラタン、美味しかったなあ。


ナナちゃんがニンジン嫌いだってことを暴露したけど、実はグラタンに入ってるんだよ?なんてお母さんは答えて。

驚いてたよね、ナナちゃん。


……まあ、そのあとすっごい睨まれましたが私は。



「“これからみんなで助け合ってゆっくり家族になっていこう”って、言ってくれたね」


「…助け合って、ゆっくり家族に…」


「うん。たとえ血の繋がりがある親子だしても同じことだよ。
焦らなくていい、ゆっくりでいい、ひとつひとつ過去を一緒に見つめて、家族になっていけばいいと思うんだ」



おじさんとナナちゃんふたりじゃ不安だというのなら、それこそ私たちがいる。

うまく気持ちを伝い合えないというのなら、私たちが代わりに伝え合う。



「ありがとう、ゆらちゃん」



やっぱり彼はナナちゃんのお父さんなんだと、改めて思った優しい眼差しだった。


その翌日、父親から渡された手紙を見た息子は。

震える手で”お父さんとうまく話せなくなっちゃった七兎へ”と書かれた1通を取り出して、目を通してから。




「───…っ、俺…、父さんと母さんの子供で…、よかった……っ」




手紙をぎゅっと抱きしめて、涙を流して。

そのあとは写真に写っていた男の子のように、笑った───。