やっと気づいたんだ私。
ナナちゃんのためにいろんなことを試行錯誤した理由。
それはいつからか、雅が甲斐田先輩のために何ができるだろうって悩んでいた姿とまったく同じだったこと。
ただ、“お姉ちゃんだから”なんて格好つけた理由付けをしてまで、いちばん近くに居たかっただけなんだって。
姉弟という言葉をいつも否定してくること、死んでも家族にはならないって言われたこと。
そのたびに悲しかったけど、本当は嬉しくもあったんだ私。
「俺の部屋でいい?」
「あ、…うん」
「待ってて。すぐ準備する」
まるで勉強のご褒美とでも言うように、本当にナナちゃんは冷凍パスタふたつを手にして私を部屋に入れてくれた。
もう遅い時間だ。
良い子は寝なくちゃいけない時間。
「数学、どっか分かんない場所ある?英語でもいいけど」
「えっ、えっと…、大丈夫…かな」
「…そ。まあ、いつでも言って。教えるから」
「……ありがとう」
平常心平常心平常心、平常心だ、ゆら…。
並んだ肩、パスタの良い香り、こんな時間に食べたら太っちゃう。
でも仕方ない仕方ない仕方ない…。
お経のように脳内で唱えることしか今の私にはできそうになかった。



