お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





調子が狂うよな、ほんと。


どうなっちゃってるの…?

ここは現実世界とは似ているようで違う、まさか平行世界だったり…?

だって私に優しい世界すぎない…?



「なあ、ゆら」


「ん…?」


「やっぱさ…、文字より言葉で伝えたほうが…いいよな?」


「え…?」



なんのことだろう。

想像してしまいたくないけど、きっとあの子とのことなんだろうな…。



「時と場合があるとは思うけど…そうだね。“まっすぐ伝えたいか”か、“形としても残したいか”のどちらかなんじゃないかな」


「…だったら俺は両方だわ」


「…そう、なんだ」



私は言葉だとしても文字だとしても伝えられそうにない。

伝えられるとするなら、“お姉ちゃん”として、お姉ちゃんが弟に言いそうな言葉を頑張って集めて、お姉ちゃんらしく伝えるだけ。


次に交換ノートが返されて、そこで私が書いて渡したときが最後なんだろうって思う。



「ゆら…?」


「っ、ごめん、冷凍パスタ、いつもの味が売り切れちゃってて…、違うのになっちゃった」


「…さんきゅ。夜食で一緒に食べよ。おばさんには内緒な」


「ふふっ、…うん」