甲斐田先輩に怒られちゃうよ…!
そんな私の言葉を聞いた瞬間、これでもかと言うくらいに大きく開いた目。
十波 七兎がここまでのリアクションをするとは、新しい発見だ。
「……まじ……かよ、」
「え…?ど、どうしたの…?」
「は…?じゃあ今までも…そういう意味だったってこと……?」
脱帽、脱力、長いため息。
いっきに戦意喪失したように、ナナちゃんは雅に向けていた視線を私へと変える。
「この野郎。…俺が今まで悩んだ時間かえせ」
「ひゃっ、いひゃい…!」
むにっと引っ張られた、右と左の頬っぺた。
なんてことをしてしまったので、またまた教室中が女の子たちの悲鳴に包まれた。
「十波くんって女の子の頬っぺたつねることができたの!?」
「あたし将来ぜったい消しゴム屋さんになる~っ!!」
だからズレてるんだってば…。
つねられた頬は思っていたより痛くなくて、どこか緊張してくる。
「おい十波!」
「…あんたは紛らわしすぎ」
「だから意味わかんない。いちいちウチにキレてくるだろお前」
「それは…悪かった」
「……き、きもちわる」



