お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「雅…っ、ボールはダメ…っ!バットはもっとダメ……!!」


「…離せゆら。コノナマイキクールオウジト、キャッチボールガシタインダ」


「ぜったい嘘…!!なにそのカタコトっ、怖すぎるって雅…!」



世の中には野球でしか分かりあえないことだってあるんだよ。

身体に叩き込んでやらないとさ、本当に仲良くはなれないだろ───?


と、並べられてゆく信用ならない言葉たち。



「せっかくスカート履いてるんだからっ、パンツ見えちゃう!くらいの気持ちでいようよ雅…!」


「……は?」



そこで反応したのはナナちゃんだった。

それは決して“パンツ”という言葉に過剰な反応をしたわけではなく、考えてもいなかった驚愕の事実を目の前にしたような反応で。


雅を睨みまくっていたナナちゃんの視線はゆーっくりと、下へ移動する。



「…なに…女装なんかしてんの」


「なっ、おまえ!!表出ろっ、今すぐミットにしてやる!!」


「わーっ!落ち着いて雅…!ナナっ、と、十波くんも失礼なこと言わないの…っ!!
雅は確かにイケメンだけどっ、正真正銘おんなのこなんだから……!!」