無意識だった。
意識なんかしていなかった。
眉を八の字にさせて誤魔化すそいつに、俺は無意識にも手を伸ばしてしまっていて。
「…?」
でも意識的だったとしても、俺はきっと同じことをしている。
伸びてくる手を不思議そうに見つめるゆらの背後に回して、そのまま引き寄せようとしたとき。
─────ゴトゴトゴトゴト。
「っ……!!」
「地震だ、」
部屋がゆっくりと横に揺れている。
震度2くらいだとは思うが、それでも地震というものは緊張感と危機感が同時に襲ってくるものだ。
10秒もしないうちに揺れは収まって、だんだん元の感覚に戻ってはきたけれど、もうひとりの様子がおかしかった。
「ゆら…?」
「っ…、ゆれてる、揺れてる…、」
「もうおさまったよ。揺れてない」
ガタガタガタと、地震以上に全身を震わせていた。
自分の身体を抱きしめるように縮こませる姿は、雷に怖がっていた小さい頃の俺よりも倍の恐怖を感じているんじゃないかと思うほど。



