お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「でも甲斐田先輩だけは違った。…それがどれだけ嬉しかったか、わかりますか?」



見た目も男っぽいし、口調も乱暴だから、初見ではみんな100%で男と間違えてくる。

女と知っても告白してくる女子生徒だっている。


でもウチは女の子だ。

こんなのだけど、先輩に惹かれている、ただの女子生徒でしかないんだ。



「……せんぱい、」


「…悪い、ふらっとなった」


「あ…、なんとか支えるんで、体重預けてくれて大丈夫です」



バランスを崩した感じはしなかったのに、肩には先輩の重みがあった。


寄りかかられている、もたれ掛けられている、抱きしめ…られてる……?

それは都合が良すぎるかと、考えないようにした。



「俺は仲間たちの夢を壊したような人間だから…、そーいうのは求める資格もないんだろうけど、」


「そーいうの…?」


「……おまえ、前にクラスメイトの友達と騒いでたろ丸井」


「………」



なんのこと…?いつのこと…?

それを言われて脳内に浮かび上がった人物はひとりだが、常に騒いでいるイメージがあって絞れない。