◇
「どうしてこう、ゲームに消極的な奴らばっか残ったんだか……。あーあ、どうせならもっと従順でカワイイ魔術師ちゃんが残って欲しかったなぁ」
「確かにこいつらの反抗的な態度は目に余るね。全員ルール違反者だが、どうやら陰陽師はバトロワルールを徹底する気だ」
霊媒師に頷いた呪術師は続ける。
「“どんな形であれ最後に残った者を勝者と認める”って。誰が最後に残ったとしても……今後に差し障りそうだ」
紗夜が眉を寄せる。“今後”?
「それ、どういう意味……?」
「生き残ったら教えてあげるよ」
口を滑らせたのだろうか。
それとも、わざとだろうか。
自分たちの知らない事実が、ほかにもまだあるのかもしれない。
「お喋りはもうおしまい。殺すね、目障りだから」
霊媒師が手を銃のように構えたのを見定め、奏汰はとっさに手をかざす。
撃ち込まれた水弾は、氷のバリアにめり込んで阻まれた。
間を置かず、奏汰は氷壁を乗り越えていく。
「奏汰くん!」
瑠奈が慌てるも、彼は怯まない。
「きみの相手は俺だ」
霊媒師を見据えて告げると、一瞬、呆気に取られた彼女はそれから笑う。
「望むところ」
その手が肩に触れたかと思うと、ふたりともが姿を消した。
「……っ」
「大丈夫……。どこかへ瞬間移動しただけ。わたしたちはわたしたちの戦いに集中しなきゃ」
「ごめん、そうだね」
動揺する瑠奈を冷静になだめ、紗夜は幾本もの注射器を構える。
こくりと頷いた瑠奈は、奏汰の残していってくれた氷壁を遮蔽に、呪術師目がけてステッキを薙ぎ払った。
しかし、即座に彼女の姿が消えてしまう。
連射された石弾は虚空を掠めて暗闇に消えた。
「どこ……!?」
次の瞬間、紗夜の背後に呪術師が現れた。
その腕が首に回される。
「く……っ」
「紗夜ちゃん!」
慌ててステッキを構えるも、呪術師が即座に腕をもたげた。
拳が握られ、瑠奈の身体は動かなくなる。
「な、何これ! 動けない……っ」
「硬直……」
「おや。もう手が尽きたんじゃないか?」
ただひとり、呪術師は楽しげに首を傾げた。
「残念だったね。あんたたちはゲームオーバー」
彼女の構えた指先 が、紗夜の顳顬にあてがわれる。
瑠奈は青ざめた。
「紗夜ちゃん……っ」
「!」
その瞬間、呪術師が顔を歪めた。
怯んだように腕をほどくと、開放された紗夜は素早く距離を取る。
その手には空の注射器が握られていた。
「あんた……!」
「甘く見ないで。もう二度と、あなたなんかに負けない」
ほっと息をついたとき、瑠奈は身体が動くようになっていることに気がついた。
一瞬のうちにステッキを向けると、呪術師の足元から石と化していく。
「……っ」
「紗夜ちゃん、いまのうちに!」
こくりと頷いた紗夜は構えた別の注射器を振り上げた。
しかし、届く前に彼女の手に弾かれてしまう。
落ちた注射器が割れると、床に禍々しい紫色が広がって、そこから煙が立ち上った。
「あ……」
その隙に呪術師が指を鳴らすと、脚の石化が止まる。
そうかと思えば、みるみる溶けるように石が剥がれていった。
半ば圧倒されながらも、つい焦った紗夜は再び注射器を構える。
瞬時に呪術師の指先 から放たれた氷弾に砕かれ、割れてしまった。
しかし、その拍子に彼女の頬に飛沫がかかった。
じゅう、と皮膚が焼けたように溶ける。
「熱……っ」
「どうしてこう、ゲームに消極的な奴らばっか残ったんだか……。あーあ、どうせならもっと従順でカワイイ魔術師ちゃんが残って欲しかったなぁ」
「確かにこいつらの反抗的な態度は目に余るね。全員ルール違反者だが、どうやら陰陽師はバトロワルールを徹底する気だ」
霊媒師に頷いた呪術師は続ける。
「“どんな形であれ最後に残った者を勝者と認める”って。誰が最後に残ったとしても……今後に差し障りそうだ」
紗夜が眉を寄せる。“今後”?
「それ、どういう意味……?」
「生き残ったら教えてあげるよ」
口を滑らせたのだろうか。
それとも、わざとだろうか。
自分たちの知らない事実が、ほかにもまだあるのかもしれない。
「お喋りはもうおしまい。殺すね、目障りだから」
霊媒師が手を銃のように構えたのを見定め、奏汰はとっさに手をかざす。
撃ち込まれた水弾は、氷のバリアにめり込んで阻まれた。
間を置かず、奏汰は氷壁を乗り越えていく。
「奏汰くん!」
瑠奈が慌てるも、彼は怯まない。
「きみの相手は俺だ」
霊媒師を見据えて告げると、一瞬、呆気に取られた彼女はそれから笑う。
「望むところ」
その手が肩に触れたかと思うと、ふたりともが姿を消した。
「……っ」
「大丈夫……。どこかへ瞬間移動しただけ。わたしたちはわたしたちの戦いに集中しなきゃ」
「ごめん、そうだね」
動揺する瑠奈を冷静になだめ、紗夜は幾本もの注射器を構える。
こくりと頷いた瑠奈は、奏汰の残していってくれた氷壁を遮蔽に、呪術師目がけてステッキを薙ぎ払った。
しかし、即座に彼女の姿が消えてしまう。
連射された石弾は虚空を掠めて暗闇に消えた。
「どこ……!?」
次の瞬間、紗夜の背後に呪術師が現れた。
その腕が首に回される。
「く……っ」
「紗夜ちゃん!」
慌ててステッキを構えるも、呪術師が即座に腕をもたげた。
拳が握られ、瑠奈の身体は動かなくなる。
「な、何これ! 動けない……っ」
「硬直……」
「おや。もう手が尽きたんじゃないか?」
ただひとり、呪術師は楽しげに首を傾げた。
「残念だったね。あんたたちはゲームオーバー」
彼女の構えた指先 が、紗夜の顳顬にあてがわれる。
瑠奈は青ざめた。
「紗夜ちゃん……っ」
「!」
その瞬間、呪術師が顔を歪めた。
怯んだように腕をほどくと、開放された紗夜は素早く距離を取る。
その手には空の注射器が握られていた。
「あんた……!」
「甘く見ないで。もう二度と、あなたなんかに負けない」
ほっと息をついたとき、瑠奈は身体が動くようになっていることに気がついた。
一瞬のうちにステッキを向けると、呪術師の足元から石と化していく。
「……っ」
「紗夜ちゃん、いまのうちに!」
こくりと頷いた紗夜は構えた別の注射器を振り上げた。
しかし、届く前に彼女の手に弾かれてしまう。
落ちた注射器が割れると、床に禍々しい紫色が広がって、そこから煙が立ち上った。
「あ……」
その隙に呪術師が指を鳴らすと、脚の石化が止まる。
そうかと思えば、みるみる溶けるように石が剥がれていった。
半ば圧倒されながらも、つい焦った紗夜は再び注射器を構える。
瞬時に呪術師の指先 から放たれた氷弾に砕かれ、割れてしまった。
しかし、その拍子に彼女の頬に飛沫がかかった。
じゅう、と皮膚が焼けたように溶ける。
「熱……っ」



