「気を付けろよ。何かあったら呼んでくれ。俺が守るから」
今朝よりも真実味を帯びたその言葉に、小春は頷いた。
こんなにも蓮を頼もしいと思ったのは初めてだ。
「うん、ありがとう。蓮も気を付けて」
「おう」
小春が家の中へ入るのを見届け、蓮は歩き出した。
ポケットからスマホを取り出し、SNSを開く。
“ウィザードゲーム”と検索をかけるも、結果なしだった。
次に、直接“ウィザードゲーム”と書き込み、投稿してみる。直後、自動的に投稿が削除された。
「……やっぱそうだよな」
蓮が魔術師となった日から、情報を得るため何度も試しているが、決まってこの結果である。
運営側が何らかの操作を行っているのはまず間違いないだろう。
しかし、例えば掻い潜る術があるとしても、身元を特定されれば襲われるというリスクから、積極的にゲームに関して書き込む魔術師は少ないはずだ。
蓮はSNS内の情報収集を諦め、メッセージアプリを立ち上げる。
【小春にもメッセージ届いたらしい】
【あと今日、他クラの奴が1人やられてた】
【しかも俺らのこと犯人にバレたかも】
彼に、立て続けに送信しておく。
既読も返信も待たずしてスマホをしまうと、警戒しつつ家路を歩いた。