祈祷師はこれまでに琴音を殺害した。

 それから、彼の仕業と言い切れないものの関与が疑われるのは、瑠奈の失踪、陽斗の殺害、小春の失踪……。

 何故、こうも近しい人物たちが狙われたのだろう。共通点は何なのだろう。

 祈祷師は魔術師から魔法を奪えないのに、何故、魔術師を狙うのだろう。

 それらが判明すれば、対策も練られるかもしれない。……全員の結論がそこに落ち着いた。

「その辺は私たちが探ってみる……」

 紗夜が言った。同調するようにうららも頷く。二人は情報収集に注力することとなった。

「俺は────小春を捜すことに集中していいか」

 静かに、だがはっきりと蓮は言う。

 ……もともと魔術師たちを殺すために魔法を使ったことはないし、今後使うつもりもない。

 この嘘みたいな力を得てから、ずっと小春を守るために動いていた。これからもそれは変わらない。それだけは断言出来る。

 運営側を倒すにしても、何にしても、小春の安否を確かめるまでは身が入らないのだ。

「俺も手伝う」

 蓮の本心などとっくに見通している奏汰は、真っ先に協力を申し出た。

「僕も日が出てる間は手伝いたいな」

 控えめながら瑚太郎も名乗り出る。

「……ありがとな」

 蓮は何処か儚げに笑いつつ、彼らの厚意を素直に受け取ることにする。そして、再び大雅とコンタクトを取った。

 現状の報告をすると、小春捜しには大雅も賛同し承諾してくれた。

『至のことは聞いたんだよな?』

「ああ、軽く」

『小春捜すついでにそいつのことも捜したい。仲間に引き込めねぇかな』

「そうだな、分かった。それは俺も賛成だ」

 ────かくして、面々は役割分担の末、別行動を取ることとなった。

 紗夜とうららは祈祷師やゲーム、運営側に関する情報収集。

 蓮、奏汰、瑚太郎、大雅は小春と至の捜索。

 アリスの行動は不明だが、単独で何かを企んでいるのは確かだった。

 それぞれの目的のため、一同は、今日のところは解散の流れとなる。



 紗夜とうららは二人、道を歩いていく。こうして二人になるのは何だか久しぶりのように感じられた。

 不意に、はっとうららは顔を上げる。

「そういえば、如月さんたちと祈祷師の同盟が終わっているという話、言いそびれてしまいましたわ」

「それはまた今度でいいよ……」

 紗夜はいつもの冷淡な調子で返した。

「如月はしばらく脅威じゃないから……」