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 廃トンネルには五人の人影があった。奏汰、大雅、瑚太郎、アリス、そして蓮は学校を抜け出し集っていた。一様に表情は暗い。

「今朝のホームルームで、陽斗と昨日の夕方から連絡が取れないって、担任が……」

 瑚太郎の言葉に「あぁ」と大雅は頭を擡げる。

「陽斗は殺された。……たぶん、祈祷師かその仲間に」

 テレパシーを繋いでいない彼には、その事実を今初めて告げることとなった。

 瑚太郎は衝撃を受けたように瞠目し、ゆらゆらと揺れる瞳を伏せた。悲しみも追いつかない。

「うちの担任も、瑠奈は相変わらずやし、琴音まで行方不明言うてたなぁ」

 アリスは顎に手を当てつつ言った。

 瑠奈は依然として安否も居場所も分からない。琴音は既に亡くなっている。

 それどころか────。

「……小春は?」

 今日は小春の姿まで見えない。大方、事情を把握しているであろう、と踏んで蓮に尋ねたが、彼は蒼白な顔で俯くだけだった。

「分かんないんだって。連絡も取れない」

 代わりに奏汰が答える。

「昨日の帰りは一緒じゃなかったのか?」

「……途中までな。踏切で分断されて、電車が通過したらいなくなってた。捜し回ったけど、見つかんなかった」

 ────彼女の家を訪ねても、いなかった。

 出迎えてくれた小春の母親に、小春からだというメッセージを見せられた。

 “数日友だちの家に泊まってくる”という内容で、時刻は十八時三十四分。

 それ以降は何の音沙汰もない。訝しげな小春の行動に嫌な予感を覚えた蓮だが、電話をかけてもメッセージを送っても、一向に応答はなかった。

 瑠奈に続き、小春までもが消息を絶ってしまったのだ。

 答えた蓮は大雅に向き直る。縋るような眼差しを向けた。

「なぁ、テレパシーは? 繋がってるか?」

「それが……」

 大雅は難しい表情を浮かべる。

 小春とのテレパシーは、少し妙な状態だった。

「繋がってると言えば繋がってる。……けど、なんつーか変な感じなんだ。互いに声が届かねぇ」

「どういうことだよ?」

「俺にも分かんねぇ。こんなの初めてだ」

 ゲームなどで例えれば、小春はまさしく“オフライン”のような状態になっているのだ。テレパシー自体の切断はされていない。それでも、声が届かない。

 今まで、“切断(ゼロ)”か“繋がっている()”かの二択しかなかったのに、何が起こっているのだろう。

「……消えたってことは、瞬間移動させられたのかも」

「だとしたら、相手は祈祷師と如月くんかな」

 瑚太郎の推測に、奏汰は言った。冬真にそんな能力はないため、彼が関与しているのなら、自ずと祈祷師も付随してくる。

 祈祷師の独断か、冬真への協力か、により意味合いが変わるという話だ。

 ────冬真の“琴音殺害”に協力した祈祷師。彼はただ者ではない。聞く限り、ありとあらゆる魔法を扱うことが出来る。

 それほど強力な彼が、何故冬真に手を貸しているのだろう。