「如月は仲間じゃない。ただ手を組んでいるだけだ。だから、互いに依存することもない。死ねばそこまでの関係だ。おまえもそのつもりだろ?」
確かめるように、律は冬真に尋ねる。
彼はただ、微笑みを返した。
「案外ドライですのね。……ま、わたくしたちも似たようなものですけれど」
紗夜のことを思う。
行動をともにしてきたけれど、仲間という形態とは少し異なっていた。
同志や戦友と言った方がそぐう。
ふと、うららはひらめいた。
「そうだ、その延長で向井さんたちと同盟を結ぶことはできませんの?」
あくまで仲間ではない、という考えのもとなら、不可能ではないかもしれない。
積極的な協力を強いるつもりはないけれど、敵でいるよりずっといい。
「……おまえたちは、最後どうするつもりなんだ?」
律は直接答えることなく、先ほどの問いを返す。
「わたくしたちは運営側を倒しますわ」
冬真はすぐさま嘲笑した。そんなの無理に決まっている。
律は困惑する。そんなこと考えもしなかった。
しかし、それなら身勝手な運営側にひと泡吹かせられるかもしれない。
(運営側といえば────)
ふと祈祷師のことを思い出した。
琴音殺害に際して接触してきた半狐面の男。
『おまえは誰だ。魔術師か?』
『いーや、ちがう。もちろん、キミたちを邪魔する気もない。コトネンを殺したいんデショ? そのために協力しよーよ』
『その前に名乗れ、どういうつもりだ』
『あー、ハイハイ。ボクは通称、祈祷師。ま、ぶっちゃけちゃうと……運営側の者っすわ~』
実際に目の当たりにした。琴音をも瞬殺してしまうほどに強いその実力を。
運営側には、彼のような存在が複数いるのだ。
ありとあらゆる異能を使う連中────倒すことなんてできるのだろうか。
到底敵う相手とは思えない。
「……どうやって?」
思わず聞き返した律に、初めて冬真の表情が曇った。
冬真は、唯一の生存者になったあとの世界を知りたいのだ。
うららたちの目的はばかげているとはいえ、敵対する考え方でもある。
律までもが取り込まれたら、協力的な手駒がいなくなってしまう。
「具体的にはまだ……。いまは情報を集めながら、同志を増やしてる最中ですのよ」
うららの返答を受け、律はとっさに冬真を見やった。
その不興に気づき、ふいと正面を向く。
「……ふん。そのまま12月4日を迎えてしまいそうだな」
そう毒づいて話題を切り上げた。
おもむろに冬真は顳顬に触れる。
(────ねぇ、大雅。ちょっと僕の話を聞いてくれないか)
ややあって、不機嫌そうな声が返ってくる。
『……何だよ?』
(きみたちに提案がある。僕らと取り引きしよう)
いい機会が訪れたものだ。冬真はほくそ笑む。
うららという人質を有効活用し、自身の目的を果たすチャンス。
これ以上ないくらいの最高の口実。
(百合園うららと大雅、きみたちを交換したい)



