「でもさ……あたしたちが求めてるのは“面白いもの”でしょ? 全員協力プレイ見せられて誰が満足出来るの。ぬるい。それじゃバトロワになんない」

 その点をルールに組み込まなかったのは失敗だったかもしれない。

 しかし、これまで(、、、、)は上手く回ってきていたのだ。

 これほどスムーズに魔術師同士で協力関係が結ばれていく方が珍しいだろう。

 男は額に手を添え、ため息をついた。

「お前のくだらない提案に乗ったばかりに……」

 少女は、むっとする。今に始まったことではないのに。

「まぁまぁ、陰陽師(おんみょうじ)の言うことは尤もだけど、今さらそんなこと言ってたって仕方がないだろ」

 女が宥めるように言った。陰陽師も少女も反論の余地なく口を閉ざす。

 ゲームはもう始まっているのだ。割り切る他ない。

「異能を与えた人間たちにはじゃんじゃん殺し合って貰わないと。決着がつかなかったら、目的果たせないもんね〜」

 半狐面の彼は取りまとめるようにそう言った。女は即座に言葉を返す。

「だから、あの愚か者どもを殺すんだろ。あんた、サボってんじゃないよ」

「はいはい、言われなくても」

 叱責に対し落ち込むように肩を竦めた彼は、直後に顔を擡げた。愉快そうな笑みを湛える。

「じゃ、今度はミナセコハルを狙うよ。カノジョ、お仲間さんがいっぱいいるからさー、一点狙いで確実に仕留めさせて貰おうか」

 ひとまず陰陽師の言葉に従い、制裁の対象を小春に切り替えようという意図だった。

 しかし、少女が「待って」と制止する。

「それよりさ……そのお仲間とやらをちょこっとだけ、先に片付けようよ」