「お返しはどうしようか」
 その大きな体でモジモジしないでいただきたい。気持ち悪い。

 元はライラ様から届いた手紙の中に、王都のご令嬢たちの間で四葉のクローバーをモチーフにしたアクセサリーが流行していると書いてあったのが事の始まりだった。
 それは決して催促ではなく、ライラ様は手紙でよく王都で流行中のものやマイブームについて言及されるため、このエピソードもそのひとつではあったのだが、ただ手紙のやり取りだけではつまらないとふと芽生えた思い付きで言ってしまった。
「それならば何か四葉のクローバーにまつわる物を贈ったら喜ばれるかもしれませんね」
 これがマズかったのだ。
 
 四葉のクローバーを(かたど)った一点物のアクセサリーをオーダーして贈るのが妥当だろうと思っての進言だった。
 それをマリエル様はどう解釈したのか、本物の四葉のクローバーを見つけてライラ様に贈りたいと言い出したのだ。
 一度言い出したら聞かない頑固な性格の我が主だ。
 その翌日、訓練そっちのけで隊員総出の四葉のクローバー探しが始まった。

「なんで俺らがこんなこと……」
 とブツブツ文句を言っていた隊員たちも、マリエル様の
「発見者には褒美として高い酒を振る舞う」
という一言で俄然やる気を出し、普段の訓練以上の士気の高さと熱量を以って合計12枚もの四葉のクローバーを発見したのだった。