「みんな、わざわざ来てくれたの!?」

一花が驚いた様子で彼らに駆け寄ると、ヨハンが「当然だろ〜!」と一花を抱き締める。その隣で金髪碧眼の女性が「心配したんだからね!」と泣きそうな顔で言った。

「あの、皆さんは?四月一日先生のお知り合いですか?」

桜士が訊ねると、年長者と見られるヒスパニック系の男性が「こんにちは」と手を差し出す。その手を少し戸惑いながら桜士は握り、「こんにちは」と挨拶をした。男性はニコニコと笑いながら言う。

「一花、強かったでしょ?彼女はwingのeagleのメンバーだからね」

「えっ!?」

wingーーーそれは、三年前に突如として医療界に革命をもたらした組織だ。医療が必要なのに医療機関が機能していない場所に赴き、患者たちを助ける「歩く病院」とも呼ばれる組織である。

そんなwingは二つのグループに分かれている。一つは、医師がいない地域に行き患者の診察をしたり、スタッフが足りない病院で働くpigeonと、紛争地域や危険な感染症が流行っている地域にも足を運ぶeagleだ。

「そういうことだったのか……」

驚きながらも納得する桜士の隣で、一花は少し恥ずかしそうにしていた。