「四月一日先生、ヨハン先生、まだ救急隊から何も連絡がありませんし、よかったら本田先生に病院を案内してあげてくれませんか?この病院、広いからね」

「はい!」

「えっ!?」

一花はニコリと笑い、ヨハンは一瞬ポカンとした後、嫌そうな顔を見せる。そんな二人に桜士は笑みを浮かべ、「よろしくお願いします」と頭を下げた。



施設のどこに何があるかなど、地図を見れば暗記できる。「ここに××があります!」といちいち説明して回るのは効率が悪く、小学校に転校生が来たようで恥ずかしい。だが、優しい本田凌はニコニコと笑みを浮かべながらついて行く。

「こっちにあるのが外来です。病棟の方に行きなかったら、このエレベーターに乗ってくださいね」

「あっちにあるのが売店。俺らも使っていいんですけど、基本患者さん用なんでそこんとこよろしくお願いしま〜す」

丁寧に説明する一花とは真逆で、ヨハンはどこか気怠そうだ。歓迎されていないのが丸わかりである。

「ヨハン、本田先生に失礼じゃない!」