「…………可愛く、させすぎだろ」
そうボソッと呟いてしまえば、急に周りがキャーキャー騒がしくなる。
うるさくて俺は耳を塞いだ。
おかげで少し冷静になれたけど……今のでよく聞こえたな?
当の本人にはポカンとしてて全く伝わってねぇってのに……
「なっちゃんっ、今日は買い物しにきたって言ってたよね!?だったらこのまま仁とデートしておいで」
「え、えぇっ、ででで!?」
無意識に緩む口元を抑える。
でででって…、なんだよそれ。
「だってそのために可愛くしてもらったんだもん。見せびらかさないと勿体ないよ」
「で、でも……でで、でぇ……」
デートが言えないのかカメコはしかめっ面で。
困ってることはわかってんのに、ちょっとこれは面白い。
「ね?仁もどこか連れて行くつもりだったんでしょ?でも美少女すぎるからって襲わないでね」
「襲うかよ」
一華じゃあるまいし……