我ながら、自分でも気持ち悪いと思う。
名前も心の中で勝手に呼んでいるんだから、これがバレたら私は本当に警察に捕まってしまうかもしれない。


そんなことを考えながらボーッとしていた。
朝が早くて、すごく眠たかったというのもある。


だからだろう。ずっと密かに憧れていた夕凪くんが、目の前にいると錯覚してしまったのは。


「あのさあ、あんた俺に言いたいことでもあんの?」


「…………」


「去年のことまだ怒ってんの?」


「…………」


聞こえるその声と見た目がどう考えても夕凪くんで、あぁ…完全にこれは夢の中なんだ……と思った。


(夕凪くんの夢なら……ずっと見ていたいよ)


「俺あんたに話しかけてんだけど」


「……っ!」


突然近づいた夕凪くんの顔に、私は肩がビクッと動く。