まずは好きな雑貨屋さんに行こう、そう思いながら改札を抜けた先の向こう側。
すぐに見つけられるほど、やはり彼の存在は一際目立つ。
纏うオーラが独特で、近寄り難い。
どうやら誰かを待っている様子だった。
(夕凪くん、私服だ……)
初めて見る夕凪くんの私服姿。
モノトーンのひとつひとつのアイテムはシンプルだけどオシャレで、きっと値段も安物を着ている私と違って高そうで。
髪はハーフアップのお団子にしていて、インナーカラーの金髪が映える。
その場の空気を攫うような佇まいに、私は物陰に身を隠しながら見惚れてしまっていた。
「仁、ちょっと買い物しすぎたかもっ!」
そんな中、夕凪くんの元に現れた一人の美女に、現実に引き戻される。
「マジか……」
「ごめんね?」
夕凪くんは顔を少し引き攣らせながらも、彼女の持っていた荷物を持つ。
「…で?一華はこれで気済んだの」
「うん、それなりには……時間が経ったってあの人は変わらないもの……」
その瞬間、ドクンッと心臓が脈を打った。
大人っぽくて綺麗な女の人の頭に、夕凪くんはポン、と右手を置いたのだ。