気づいてしまったこの気持ち。
ありがとうの気持ちと共に、静かに芽生えていたこの気持ち。


(私は、夕凪くんのことが、好き……)


もちろん、私が好きになっていい相手じゃないことはわかっている。
私がこの気持ちを夕凪くんに抱くことすらおこがましい。許されない。


それでも、どうしてかな。
すごく、大事にしたい……


初めて男の子に恋をした。
夕凪くんがくれた、この気持ちを……



ひとり、電車に揺られ考えていた。
ウサギとカメのお話のように、もしも足の遅いカメと競うことになったら、夕凪くんはどうするかな…?と。


う〜ん……遅くてもカメと一緒に歩きそう。もし先に行ったとしても、絶対に気にして待っていてくれる。


でも途中で我慢できなくって、結局カメを背中に乗せてゴールしてしまうんだ。そんな、トラの姿が想像できた。────