「ま、確かに言いづらいよね。"不良バカが多い黒霧"って、目の敵にしてるこの白女子じゃ特に…」
「……葉桜さんに、何も言えなかった……まつりちゃん…迷惑かけて、ごめんね……っ」
「もう〜、なちが謝ることじゃないでしょ〜…?」
そう言って、彼女は涙の止まらない私を落ち着けようと抱きしめ背中を撫でてくれる。
(私って本当に、弱くて泣き虫で、一人じゃなんにもできないな……)
「葉桜はさ、いかにもなちのことを心配して言ってる感じだったけど、結局世間の目とか評価が気になるだけだから。なちは自分の気持ち、大事にしていいんだよ」
「……っ、」
「私は、なちが決めたことは応援する。カメコ呼びとか物申したいことはあるけど、やっぱりなちの伝えたい"ありがとう"は、ちゃんと届いてほしいもん」
(まつりちゃん……)
私はまだ、夕凪くんに伝えていない感謝の言葉がたくさんある。
初めて彼の姿を見た時も、どれだけありがとうと思ったかわからない。
今日だってすぐに声に出して伝えられたらどんなに良かっただろうと思う。
どれだけダメだと言われても、例え傷つくことになったとしてもいい。
ただこの気持ちを、言葉で伝えたい。
こんなに救われるような気持ちをくれた、夕凪くんに。──