「なんででしょう……」


「ん?」


「夕凪くんといると、自分のダメだと思ってたことが、大丈夫になるんです。今日も店員さんと話すの、緊張はしたけど不安じゃなくて……必要以上に、周りにビクビクもしませんでした……それがすごく嬉しい……ありがとう、夕凪くん」


もちろん、視線の中にはどうして私のような人間が彼の隣に……と思われていそうな瞬間もあった。


けれどその度に夕凪くんはぎゅっと手に力を込めて握ってくれたり、体を引き寄せて話しかけてくれた。


例え周りの人に不釣り合いと思われていても、夕凪くんはそんなことどうでもいいと言ってくれてるみたいで。


(夕凪くんのことが大好きすぎて、おかしくなりそう……)


「すぐそうやって俺のおかげにする」


「っ、夕凪くんのおかげです……っ!?」


急に右肩にかかる重さと感触でビクッと体が反応する。


夕凪くんのおでこが乗せられたことに気づくと同時に、彼は小さく溜息をついた。