「あの、今日夕凪くんの誕生日なのに、色々迷惑かけてごめんなさい……っ、せめてプレゼントを」


そう言って、先ほど夕凪くんに連れ戻されたベッドから立ちあがろうとするが、私の体を夕凪くんは静止させた。


「次のデートん時でいいから」


「で、でで!」


「ふはっ……うん、デート」


「…………」


(すき。夕凪くんの笑顔は、何度見てもキュンとしてしまうから困る……)


「ちなみになちさん」


「はい?」


「……そん時はキスするから、口にも。いっぱいな?」


「っ…!?」


彼は耳元でそんな爆弾発言をしてニッコリと笑い、私がパクパクと口を開閉させている間に帰って行ってしまった。


その晩。
だいぶ熱も下がり調子も戻ったはいいものの、夕凪くんの温もりがあった布団の中を思い出して少し寂しい気持ちになる。
温もりは得られなくても、大きな抱き枕を買おうと誓ったのだった……──