「なち、入るわよ。夕凪くん来てくれたって。今日会う約束してたんでしょう?」
「……え」
「おじゃましてます」
「っ!?」
そこには、ドアを開けたお母さんの後ろからひょこっと顔を出す夕凪くんが見える。
家に帰ってからわざわざ来てくれたのか私服姿だった。
(今日も、かっこいい…………って、そんな呑気にしてる場合じゃないよっ)
自分のボサボサの頭と寝巻き姿にハッとして、恥ずかしさで布団にくるまった。
「ははっ、かわいいなそれ」
「……!?」
そんなことを言われれば、体が熱くなってまた熱が上がりそう。
絶対可愛くないのに、こんな時でも夕凪くんは可愛いと言ってくれる。甘めの夕凪くんはとても心臓に悪い。