「わたしのこと……すき、って言いましたか…?」
やっと口から出た言葉が、突拍子もなく。絶対にありえない、考えられないようなことで。
それでも聞かずにいられなかった。
「あ、それとも夕凪くん……カメが好きってこと…?」
女の人が嫌いな夕凪くんが、私に恋するはずがないと頭が混乱してアホなことを口走る。
すると夕凪くんは、ふはっと吹き出した。
「違う……なちが好き。なちは俺の初恋」
「──っ…!」
その瞬間、声にならない声が出た。
今度こそついに実感が湧いてきたのか、全身が熱くなってくる。
(は、はつこい……破壊力がすごい)
夕凪くんが私のことを想ってくれている。
その奇跡に涙が出て、私は天にも昇りそうなほど幸せでいっぱいになっていく。
「けど……俺がそばにいれば、今日みたいなことがまた起こるかもしれない。俺のせいでなちのこと傷つけるかも。たぶんお前は、俺みたいなのと一緒にいるべきじゃない」
「…っ…」
言葉が詰まり、無意識にブンブンと頭を横に振っていた。