「なち……」


夕凪くんはもう一度私の名前を呼ぶ。
どうして突然、そんな風に呼んでくれるんだろう。


硬直して震えていた身体が、少しずつ治まっていく。


「こんな目に合わせといて、すげーカッコ悪いんだけど……俺の気持ち、聞いてくんない?」


と言いながら、夕凪くんは私の緩くなっていた三つ編みを解いた。
私はコクンと小さく頷く。


「気づいたら俺…、なちに恋、してたっぽい」


「…………」


何を言われたのかわからなかった。


「……あ〜〜…、慣れてなさすぎてかっこつかねぇ……」


夕凪くんはそう言って、自らの髪の毛をぐしゃぐしゃにする。
彼の言動、すべて。私は何をしてもかっこいいと思う。


「つまり…、なちのこと、好きだって言いたいんだけど」


「……っ!」


顔を上げた夕凪くんの顔が真っ赤で、何を言われているのか理解できずにいるのに、涙がポロッと流れ出た。