昨日の帰り、わざと一人でフラフラし、湊人達に頼んで証拠として撮ってもらったのだ。
今日こんなことをするとは俺の想定不足だったが、この証拠を突きつけて全て終わらせるつもりだった。
「ストーカーは犯罪だから」
「っ……」
「あ、言っとっけど、このスマホ壊しても別のに証拠あんだよね。……だから捕まりたくなかったら二度と俺に近づくな。もちろんこいつにも、手出したら容赦しねぇ」
そう言った俺の顔がよほど恐ろしかったのか、目を潤ませながら怯えたように何度も頷く。
「あとこれだけは言っときてぇんだけど!」
逃げていく背中に声をかけると、足を止め恐る恐る振り向いた。
「あの日電車で痴漢から一番助けようとしてたの、こいつだから」
「っ…」
去っていくその女の表情が、一体どういう感情をしていたのかは読み取れなかった。
俺は急いで縛られていたカメコの元に駆け寄る。