「もし、私を利用することで、夕凪くんの心が落ち着くんなら、それがいいです……私が夕凪くんに感謝を届けたいというのも、私の勝手な願いになるので……おあいこです」
俺に利用されてると知っても、それでいいと言う。
それが自分の願いでもあるからと。
やばい……やばい……やばいわまじで……っ
沸々と込み上げてくる感情が、抑えていた衝動を再び呼び起こそうとする。言動がいちいち心臓に刺さる。
満たされる。カメコがそばにいると、簡単に俺に足りないものが満たされていく。
挙句、俺のことが好きだと突拍子もなく口にした。驚いて何を言われたのか理解するのに時間がかかった。
「夕凪くんがどこの誰であろうと、関係ありません……お母さんのことを嫌いな夕凪くんでも、お母さんと血が繋がってることに、怯えてしまう夕凪くんでも……関係ないんです」
その言葉は、そうか……とストンと俺の中に落ちてくる。
あんな母親と血が繋がっていても関係ない、それは俺が欲しかった言葉だった。