「私があなたを産んであげたんだから、その恩をお母さんにも返しなさいっ!」


目の前では過去と同じく、未だに毒を吐き続ける母がいる。
変わらねぇ……血の繋がりを利用して俺を動かそうとするところも……


誰も産んでくれなんて、頼んだ覚えはないのに。


この国のお偉い誰かさんは、生まれてくる場所を自らの魂が選んだと言うし、また別のお偉い誰かさんは、子は親を選べないと言っていた。


だからなんなんだろう。どうでもいい。結局俺の母親だという事実が変わるわけじゃない。


「仁だけは私のこと見捨てないで、ね?」


気持ち悪さに震える。
こんな人と同じ血が流れてるんだと、考えるだけでどうにかなりそうだった。


俺もいつか同じようになるかもしれないという恐怖。
心の底から誰かを愛せない。
そのくせ飢えて飢えて求めるだけ求めて、縛っていく。


まじで……なんで生まれてきた……?
あぁ……呼吸がしづれぇな……このまま死ねたらいいのに。