「それやる。イヤーカフ。もし取れそうなら挟むように強めに押すといいかも。痛くない程度にな」
「……」
今度は自分の手で右耳を触り、夕凪くんに言われた通りグッと押さえる。
「こ、これって、夕凪くん。いつもつけてますよね…?高そうですし……私がもらっても、いいんですか……?」
「カメコがそれでいいんなら。ほぼつける時ねぇかもだけど」
「で、でもっ」
「捨てる予定だった。だからやる」
「…〜っ…!」
そんなわけないのに。
優しすぎて、困る。
(うぅ〜……すき。すき。ほんとに、好きだなぁ……)
「……だいじに、します……っ」
再び溢れそうになる涙を、ぐっと堪えて出た言葉。