「っ…、想像の夕凪仁と全然違う……こんなにも、ピュアで鈍感だったなんて……」
雛形が俺に対してどういう想像をしていたのかは知らないが、衝撃を受けた顔で見るのはやめてほしい。
自分でも自分の感情に疎いことは最近気づいたから。
カメコのことになるとわかんねぇことが多すぎる。
つーか、会いたくなる理由知ってんなら教えろよ……
「でも…、白胡桃は黒霧に対しての思い込み激しいからさ……学校同士のしがらみってもんが二人のこと邪魔したり、なちと会うだけで周りに非難されることがあるかもしれない……そうなっても、勝手に決めつけないで、なちの言葉を聞いてくれる…?」
「……あぁ。これからもあいつの話は全部聞く」
そう返せば、雛形は満足そうな表情で笑った。
例えば今、カメコと関わるなと牽制されようと、そうするつもりだった。
たぶん俺のほうが、話が聞きたくて、あいつのことをもっと知りたいと思ってんだな……
そばにいたら、わかる気がする。
このカメコにだけ感じる、謎だらけの自分の感情の正体も。────