「で、そいつ今どこ?」
「……あぁ、外で待ってんぞー…」
モテたくてしょうがないヒデが可哀想に思えてきたところで、俺はヒデの頭に手を置く。
そしてセットされていた髪型をぐしゃりと崩した。
「な、にすんだよっ、せっかくモテ髪にしてんのに」
「お前のそのまんまの良さをわかってくれる奴が、どっかにいんじゃねぇの」
「っ!?じ、仁〜……!俺と付き合ってくれ〜っ」
と、歩き出す俺の背中に今度はしがみついてくるヒデ。
「いや、なんでだよ。お前は彼女が欲しいんだろうが……」
何とかヒデを振り払いながらも外に出る。
すると、正門前で男にしては低めな身長と細い体型のヤツが仁王立ちで待ち構えていた。
周りからは「仁さんへの決闘の申込みだ」「あんなヒョロヒョロで勝てるわけねーのに……」と、言いたいように騒がれている。
「…………」
つーか…、うまく隠せてはいるが、こりゃ女だろ……
短い黒髪はウィッグかなんかだ。
俺に気づくと、ピクっとそいつの眉が動く。
「夕凪仁、あんたに話がある!」
あぁ…、こいつはカメコの番犬だろうな。
なんの根拠もないが、俺の勘がそう告げた。────