それからは書店で本を購入したあと、一華さんへのプレゼントも見つかって、無事買うことができた。


帰りは一華さんの旦那さんで、夕凪くんの担任の先生でもある北風右京先生が、車で迎えに来てくれ、危ないから家まで送ってくれるという。


まだ外は暗くないし、めっそうもないと断るも虚しく、半ば強引に送ってもらえることになった。


ワゴン車の後ろ座席に、夕凪くんと二人並んで座ると、密閉された空間という緊張で、また心音が高くなってしまう。


運転席から北風先生が色々話しかけてくれたけど、聞かれるスピードが早く、ほとんどうまく喋れなくて、夕凪くんが「運転に集中しろ」と怒って止めてくれた。


北風先生は怒られてもなぜか嬉しそうに笑っていて。
きっと夕凪くんと北風先生にも、深い絆があるんだな、と思った。


夕凪くんの隣で、静かに目を閉じ、今日という日を振り返る。


驚いたことに、嫌な記憶を思い出したことが打ち消されていた。
本当に至れり尽くせりで、夢のような一日……。


「……夕凪くん……ありがとう…………」


私はそのまま、家に着くまでスヤスヤと眠ってしまっていたのだった。────