このショッピングビル内には書店も入っていて、しかも敷地面積も広めで品揃えも豊富なため、本好きはみんな行きたいと考えるはずだ。


「夕凪くんっ、あ、あの本屋に寄ってもいいですかっ?す、少しだけでいいので……」


「あぁ」


私が思い切って本屋に行きたいことを告げると、夕凪くんは「ちゃんと言えたな」と小さく笑った。


「っ……」


わかってる。夕凪くんにとっては私はカメのような存在で、口下手で人見知りな私のお世話をしてくれていること。


それがわかっていても、簡単に胸がギュッと締め付けられて、また恋に落ちてしまうんだ。
私はきっと、夕凪くんに何度も恋をする。


例えば、突然明日、彼と出会った記憶を忘れたとしても。
例えば、急に別の遠く離れた惑星にとばされたとしても。
例えば、誰かに猛烈に気持ちを否定され、傷ついたとしても。


きっと生まれ変わっても夕凪くんに、恋をしてしまうんだろう。