え、ちょっと待って?


いや本当に待って欲しい。


私は今十六歳で、ここが本当に小説の中の世界なら二年後には殺されてしまうってこと!?


しかも二年を待つどころかその前にも命を狙われるわけで……。


そんなの絶対に嫌!!


なんとかしないと……!


というか確かそもそもこのお茶会がリーゼロット暗殺計画の始まりじゃなかったっけ!?


思い出すのよ、リーゼロット!


確か、キースが淹れたレモンティーに睡眠薬が入ってるはず……!


そしてリーゼロットが寝落ちる瞬間にさっきのヴィルフリートのセリフ。


『どうやら私の婚約者は体調が良くないらしい。それを飲んだら部屋に戻るといい』


そう言い残して立ち去るのよね。


リーゼロットと一緒にいたくなくて早く切り上げるために婚約者に睡眠薬って何考えてんのよ!


しかも心配そうに駆け寄って来たキースも共犯である。


優しそうな見た目に反してクソほども信用出来ない男である。


いやぁ、にこにこしながらお茶淹れ直してくるのはいいんだけどね?


どうせこれも睡眠薬入ってんじゃないの?
私はため息をつく。


早急に部屋に戻って状況整理と今後の対策をしなくては。



「ヴィルフリート様の言う通り体調が優れないので私はおいとましますわ。ナーサリー、戻るわよ」


「か、かしこまりました」



急に名前を呼ばれて驚いたのかナーサリーは肩を震わせた。


そうだったわ。


私はワガママ意地悪リーゼロットなんだったわ。


そこもなんとかしなくちゃね。