「皆さん、急にお呼び立てしてしまってごめんなさい。実は皆様にお伝えしたいことがあって集まって頂きました」



ぺこりと頭を下げると使用人達は更にざわついた。


私が使用人達に丁寧に話しかけるのはきっと初めてのことだ。


確かに使用人達に比べたら私は上の身分だけどそれが他人を雑に扱っていいという理由にはならない。


前世は貴族社会ではなかった。


立場や上下関係はあれど生まれながらに皆平等。


そんな世界で生きていたのだ。


私はみんなの信頼を取り戻したい。



「私は今まで皆さんにたくさん酷いことをしてきました。一度謝ったくらいで許されるなんて思っていません。けれど言わせてください。今まで本当にごめんなさい」



私は深々と頭を下げる。



「そして今まで親代わりとして私を面倒見てくれて本当にありがとう。せっかく作ってくれた料理を放り投げてしまってごめんなさい。いつも美味しい料理ありがとう。いつも花が綺麗な庭を作ってくれてありがとう。おかげで庭を見る度安らぐわ。いつも家の中を綺麗にしてくれてありがとう。それから……」



料理人、庭師、メイドと一人一人に謝罪と感謝を述べているとメイド長が涙を滲ませながら口を開いた。



「もう、充分です……。お嬢様の心は伝わりましたよ」



はっと気付いてみんなを見るとみんな晴れやかな笑顔をしていた。


中にはすすり泣いている人もいる。