伝説に散った龍Ⅲ





















「あ、柚起きちゃったの?」



「…どういう状況?これ」





セリナの姿を目にすると、観月は気怠そうに息を吐きだした。



俺には、それが安堵しているように見えて仕方がなかった。


























「私一人じゃ二人いっぺんに救助できなかったんだよ。



近くに彼等が住んでたから伝ってもらった。迎えに来たよ、柚」



「こいつ、…この人ら、お前の知り合い?」



「うん。仲良いの」





“仲良いの”。



ケロリとした表情で言い放ったセリナに、思わず頭を抱える。





「雑だな」



「…そう?」



「うん」





セリナが観月に手を差し出す。



観月は迷うことなくその手を取るとさらに、躊躇いもせずセリナに寄り掛かる。





「…それ、歩けんのか?まともに」





訝しげに尋ねる俺に



セリナは『大丈夫だよ。私が支えるから』と答えるが



対照に、観月は激しく首を横に振った。



ミオに視線を送る。SOSのサイン。




























「…車出そうか?セリナ」



「え、いいの」



「おう。雄大が」



「おーおー。送りますよ」



「えー雄大くんありがとう」



「いーえ。…おらガキ、早く乗りやがれ」





少々不本意だが、致し方あるまい。



黙って背中を差し出す。



存外素直に担がれた観月は、見た目以上にずっしりと重たかった。



ただ少し。





















































アイツの隣を歩くには不安な体だな。



やっぱり駄目だよ。お前じゃ。