伝説に散った龍Ⅲ



















中途半端にうずくまった思考。



靄が晴れないまま、ああだこうだと騒いでいれば



さすがにうるさかったのか





「…ん、っつぅー…」





小さな声が耳に届いて、俺たちは現実へと引き戻される。



























まずい。起こした。



部屋の隅に寄せられたソファで、人影がゆらりと動いた。





「…あ?」





機嫌の悪そうな低い声。














































クソガキ



基、観月柚は



俺たちの顔を見るや否やあからさまに表情を歪める。



相手はもちろん知らない。



此処がどこなのか。俺たちは一体誰なのか。



合わない焦点が物語る。



きっとあいつは言っていない。自分の正体でさえ。



それは



すごく悲しいことだと思う。














































────あいつは苦しいのだと思っていた。



この場所は、あいつを苦しめる場所なのだと。



だから、ここを離れれば楽になれるのだろうと。



しばらくしてようやく会えたらしい新しい居場所に、嫉妬こそしたが



『これでやっとあいつは楽になれる』



そう思って。



だから我慢しようとつとめた。



なのに。



それが、すべて覆った気さえした。

























































まだ、本当の自分すら隠しているのか。



お前は一体



何処でなら楽に息ができるんだろうな。